新薬の治験では新薬を試せないこともある
きなこ
新薬の治験に協力すれば、
新薬を使った治療が無料で受けられるんだよね?
あんこ
それが、そうとも限らないんだよね~
きなこ
えっ、そうなの?
新薬を試したくて、治験モニターに応募する人も
多いと思うんだけど……
あんこ
治験では
「新薬を服用するグループ」と
「対照薬を服用するグループ」を比較するんだけど、
後者に選ばれたら新薬は試せないんだよ
きなこ
治験ってそういう仕組みなの?
知らずに参加すると、がっかりしちゃうかもね新薬の治験で使う、対照薬と偽薬(プラセボ)についてまとめました。
治験の対照薬とは?
治験で被験者が服用する薬のうち、新薬以外の薬のことを対照薬と呼びます。
新薬の有効性を調べるには、
治験モニターを二つのグループに分けて、
- 新薬を服用するモニター(治療群)
- 対照薬を服用するモニター(対照群)
のデータを取り、両者を比較するのが一般的な方法です。
治療群と対照群、どちらのグループに入るか自分で選べる?
治験では、新薬と対照薬のどちらを服用するか、被験者が自分で選ぶことはできません。
また、治験中は自分がどちらの薬を服用しているのか教えてもらえません。
治験の対照薬には
「類似薬」と「偽薬」がある
治験の対照薬には
- 類似薬
- 偽薬(プラセボ)
の二種類があります。
類似薬は市販されている先行医薬品のこと。
偽薬(プラセボ)は乳糖・でんぷんなどで作られた、有効成分を含まない薬のことです。
類似薬を使う治験とは?
新薬と似た成分の薬が既に認可されている場合には、
市販されている類似薬を対照薬にした治験を行い、両者のデータを比較します。
例えば、ジェネリック医薬品の治験では先発医薬品と新薬を比較することが多いです。
偽薬(プラセボ)を使う治験とは?
新薬と似た成分の薬がまだ発売されていない場合には、
有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を対照薬にした治験を行い、両者のデータを比較します。
プラセボ効果とは?
プラセボ効果(プラシーボ効果)とは、薬そのものの成分とは関係なく、
「薬を飲む」という行為への期待感や薬を飲んだ安心感で、症状が良くなることを言います。
例えば、うどん粉の塊でも、本人が睡眠薬だと信じ込んで飲むと本当に眠くなったりするらしいです。
逆のケースでは、人体に無害な偽薬を
「この薬には酷い副作用がある」
と聞かされてから服用すると、本来は起こりえない副作用を自覚症状として感じることがあるそうです。
治験で新薬の有効性を示すには、
「偽薬を服用したグループ」よりも「新薬を服用したグループ」の方が
症状が改善されている必要があります。
対照群でも治験モニターの謝礼はもらえるの?
治験で対照群に選ばれて、人体に何の影響もない偽薬を服用したとしても、治験の謝礼金(負担軽減費)は満額支払われます。
「治験は危険?高額謝礼がもらえる意外な理由とは」にもまとめた通り、
負担軽減費は治験期間中にモニターの行動や判断の自由を制限することに
対して支払われるものです。
服用した薬に有効成分が含まれていなかったからといって、負担軽減費が減らされることないのでご安心ください。
治験が終わったら、どちらのグループだったのか教えてもらえる?
自分が新薬を飲むグループだったのか、対照薬を飲むグループだったのか、
気になりますよね。
特に、疾患者を対象にした治験であれば、自分が新しい治療方法を試せたのかどうか知りたい人がほとんどだと思います。
ところが残念ながら、治験では被験者がどのような薬を服用したのか、被験者に開示する義務はありません。
治験によって、終了後に教えてもらえることもあれば、教えてもらえないこともあります。
気になる方は、初回来院時に治験コーディネーターさんに聞いてみましょう。
私の体験談
私はサプリメントの臨床試験で、自分が治療群だったのか対照群だったのか、試験終了後に問い合わせたことがあります。
特定の疾患者だけを対象にした臨床試験で、一定期間サプリメントまたは偽薬を服用して、症状改善が見られるかどうかを検証するものでした。
問い合わせを行った理由は、私が服用した試験薬には効果があるように感じたので、自分の感覚がサプリメントの有効成分によってもたらされたものなのか、ただのプラセボ効果なのか知りたかったからです。
調査機関の回答は、
「臨床試験終了後であっても、被験者がどちらの群であったかは教えられない」というものでした。
それがルールなら仕方ありませんが、患者側からすると、今後の治療に役立ちそうな情報が手に入らないのは残念でした。
試験開始前の説明では、有効成分の名称とサプリメントに配合されている量まで聞いていました。
それが自分の体に効果があるのかどうか、できればはっきりさせたかったです。
どちらを服用したのかわからないままというのは、モヤモヤが残りました。
対照群がない治験もある
なお、治験の中には対照群を置かない治験も存在します。
前後比較試験といって、治療行為を行う前と行った後のデータを比較する内容のものです。
疾患者が少なくて十分な協力者が集まらない場合に採用されます。
そのような治験であれば、必ず新しい治療法を試すことができます。
例えば、2018年のニュースですが、抗がん剤「オプジーボ」を胸膜中皮腫の患者に適用した治験では対照群が置かれていません。
この治験では、「手術が難しい状態に進行しながらも未治療の患者」が対象になっています。
命に関わるような疾患を持つ人に、「偽薬」は試せないですよね。
さらに、従来の治療法を施せないような病状なら、新しい治療法を試すしかありません。
治験と一言で言っても、手法にはバリエーションがあります。
わからないこと、気になることがあれば、案件ごとに治験コーディネーターさんに確認してみてください。
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